シャープ増資の中身 銀行株も影響

シャープが増資を検討しているようですが、銀行も協力を検討しているようです。シャープは、業績悪化で資本が減少しており債務超過寸前となっています。銀行が債権を、劣後債や優先株に振り返る可能性があることが示唆されています。


株価が安いときは株数が増える

シャープ普通株式の、単純な引き受け以外の方法を検討しているようです。その理由としては、株価が低迷している局面での増資は、発行済み株式数の増加により、既存株主への負担が大きいからでしょう。

増資は1000億円、株価が(1)100円と(2)1000円の場合を考えて、簡単に比較してみます。
  1. 発行株数10万株 増資1000億円 株価100円 
  2. 発行株数1万株 増資1000億円 株価1000円 
株価が低いほうが、発行する株数が増える事が分かります。では、株数が増えると、株主に何か不利なことがあるのか見てみましょう。

株数が増えると既存株主に不利

株数が増えると、1株当たりの利益が減少する事になります。
  • 1株当たりの利益=利益÷株数(増資すると増加)
もちろん、新株を発行する事で、会社の財務体質が強固になれば、倒産する可能性が減少します。また、調達した資金を有効活用することができるのであれば、会社の成長も見込めます。

銀行から借入など、代替の手段がないのであれば、一つの手段としてはありますが、株価の低下局面で、新株の発行は既存株主には不利になります。

では、シャープの資本増強について、2013年1月1日の読売新聞が報道しているので見てみましょう。

公募増資などを検討

経営再建中のシャープは、2013年春にも公募増資などで資本増強を図る検討に入った。1000億円超の資本増強が必要と見ており、主力取引銀行と協議を始めた。(読売新聞) 
調達した資金は、主力の液晶事業の強化にあてる。(読売新聞)
シャープが、公募増資「など」で資本増強を図ると報道されています。ポイントは、公募増資以外でも、資本増強が行われる点です。

お金は、液晶事業の強化となっていますが、デジタル家電の現状と今後、シャープとパナソニックの違いで見ましたが、液晶事業は赤字です。

お金の資金使途について、より細かく説明しなければ、リストラの資金と解釈される可能性が高いです。では、シャープ資金調達方法の検討内容を見てみましょう。

銀行の考えとシャープの自己資本

シャープとみずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行の主力2行などは、自己資本比率を少なくとも10%超に高める必要があるとの認識で一致した。(読売新聞)
銀行は2行が、主力行となっています。自己資本比率10%超が一つの目安となっているようですが、自己資本比率10%は高い水準と言えません。

どうやら、現在、債務超過寸前のため低い目標となっているようです。

債務超過寸前 自己資本比率2~3%

シャープは11、12年度と2年連続で巨額赤字を計上し、13年3月末の自己資本比率は8%程度に低迷する見通しだ。(読売新聞)
さらに、13年度には年金の積み立て不足を負債として計上することが必要となる。(読売新聞)
このまま14年3月末を迎えると、自己資本比率が2~3%に低下する見通しで、債務超過に陥る危険性がある。(読売新聞)
年金積立不足について報道があるが、シャープの自己資本比率は、債務超過寸前まで低下するようです。シャープ株の買いがすごく証券会社が予想を外すと明らかに分かるほど、株価水準は回復していることも、後押ししたのかもしれません。

資本増強の内容と気になる点

劣後ローンや優先株も検討

増資に加え、普通株ではないが、自己資本とみなすことができる劣後ローンや優先株などを組み合わせることで、主力行も信用補完する方向だ。シャープは2月にも発表する中期経営計画に盛り込む方針だ。(読売新聞)
資本増強の中身を見ると、銀行のシャープ向け貸し出しを考えると、気になる文言がある。それは、銀行が劣後ローンや、優先株などの組み合わせを検討していることです。

銀行が貸倒引当金の積増しの可能性

管理人が、気になるのはDDS(貸出債権を劣後ローンに)やDES(貸出債権を株式に)を行う事を検討しているように読める点です。そうなった場合、銀行は、シャープに対する貸し倒れ引当金を積みます必要に迫られる可能性があります。

もちろん、劣後ローンや優先株に転換後に、業績が回復すれば銀行も見返りが期待できると思います。シャープの業績を見たうえで、株式市場がどう評価するのか注目ではないでしょうか。

シャープの銀行の社内格付け格下げで要注意先である事が報道されていますが、貸出債権の更なる格下げの可能性あります。シャープ増資の中身によっては、債権の劣化で、銀行株にも影響すると言えるでしょう。

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