仕組債デメリット 奈良の事例

仕組債のデメリットについて、奈良県市町村総合事務組合の事例を紹介。総務省によると、自治体は調査対象ですが、一部事務組合については調査対象外。今後も、損失事例がでそうですね。


仕組み債の金額

・奈良県の市町村などで構成する奈良県市町村総合事務組合

・2009年度末で15本、68億円の仕組み債(個別の購入時期・保有年数は不明)

金融商品としての特徴

【メリット】

・金利が高い

【デメリット・リスク】

・為替レートが決められた水準より円高になると、利息がゼロ

20~30年間償還されなくなる。

奈良県市町村総合事務組合の事例の場合、為替レートがトリガーになっている事が分かります。記事では、言及されていませんが、リーマンショックによる急激な円高がきっかけでしょうね。

収支

・利息収入  16億円弱(2000年以降 金利は不明)

・解約損失  20億6000万円

・差し引き  約5億円の損失

10年以上、金融商品を保有しているのに、本来得られる収入を得られず、大損失。この運用は、大失敗であったと言えると思います。担当者は、どのようにリスクを想定したのか、疑問が残ります。

販売した金融機関は、販売時に手数料収入を得ているので損失はありません。ただ、購入先の担当者に、どのようにリスクを説明したのか責任を問われる事になると思います。

奈良県市町村総合事務組合の事例

 奈良県の市町村などで構成する奈良県市町村総合事務組合が、為替レートによって受取利息が変わる「仕組み債」で20億6000万円の損失を出していた。同組合は宇陀、葛城の2市と全27町村の退職金の運用・支給を担っている。運用の失敗と退職者の増加で、2012年度から自治体の負担金を77%引き上げた。13年度はさらに43%上げ、昨年度までの2.5倍になる。


 同組合は09年度末で15本、68億円の仕組み債を保有していた。多くは当初の金利が高い代わりに、為替レートが決められた水準より円高になると利息がゼロになり、20~30年間償還されなくなる。兵庫県朝来市などが運用していたのと同じ仕組みだ。満期まで持ち続ければ元本は償還されるが、退職者が増え、資金を捻出するため時価で売却。損失が顕在化した。

 仕組み債への投資を始めた2000年以降の利息収入16億円弱を引いても、5億円近くが失われた。

 退職者の増加と現役職員の減少で、ピークに161億円あった同組合の基金は11年度末に20億円余りまで減った。同組合は『これまでの負担金率が低すぎた』というが、仕組み債の運用失敗が12~13年度の負担増につながった面は否めない。構成団体からは『財政的に厳しい。もう少し早く情報を開示してくれれ』といった声が聞かれる。

 総務省は09年に仕組み債での運用を調査している。神戸市や朝来市など24市町村の実態が明らかになったが、一部事務組合は対象外だった。奈良県も『組合の基金の運用に県はタッチしない』(市町村振興課)との立場だ。

 しかし、10年度末には全国で911の一部事務組合(広域連合を含む)に計9040億円の基金があった。運用に失敗すれば負担は住民にのしかかるだけに、自己責任ですませていいのか疑問も残る。

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