シャープ2013年3月期決算の赤字拡大の理由

シャープの2013年3月期決算予想で、特別損失の拡大で赤字増加が報じられています。シャープ赤字拡大の原因は、減損損失の計上ですが2012年第3四半期決算に計上すべきであったものを、期末に計上した可能性がありますね。

(1)シャープ決算予想と亀山工場の稼働率

シャープの決算予想について、銀行員から販売計画などを含めて、ドンブリ勘定であるとの指摘がありましたが、その一つが亀山工場の減損損失ですね。

シャープは希望的な観測による販売計画を建てていたことが報じられていますが、予想の工場稼働率を上げることで減損損失を回避していました。シャープの亀山工場は、アップル専用ラインがありますが、工場稼働率を著しく低迷しており、減損損失を計上していないのが不思議な状況でした。

(2)シャープ赤字拡大は減損損失と和解金

シャープ2013年3月期決算の赤字拡大の理由について、2013年5月1日の日本経済新聞9面が報じているので見てみましょう。
シャープの2013年3月期の連結最終赤字が5000億円規模(前の期は3760億円の赤字)になったようだ。液晶パネル事業の生産設備の減損処理や、カルテルを巡る和解金の支払いに備えた引当金など追加の特別損失を計上。従来予想の4500億円の赤字から拡大する。
シャープの連結最終赤字が拡大していますが、原因は減損損失と和解金の引当金ですね。シャープ特別損失のうち減損損失について、シャープ赤字の原因で説明しましたが、工場稼働率の低迷が原因ですね。

(3)アップルの受注減少継続が理由

2月に発表した12年4~12月期(9ヶ月)決算で約1600億円の特別損失を計上しており、これが大幅に膨らむ。主要取引先である米アップルのスマートフォンiPhone5の販売が伸び悩み、年明けから中小型液晶パネルの受注減が継続している。
シャープが減損損失を計上したのは、アップル向けの中小型液晶パネルの不調が理由だとすると、亀山工場の話ですね。シャープiPhone液晶生産費用と隠蔽の真相は、2012年12月中旬にアップルから連絡がありましたので、粉飾決算とがあってもおかしくないです。

シャープとアップルの契約を見ると、亀山第1工場はアップル向けの専用ラインとする契約があるため、転用が行えず向上稼働率の低下は2012年第3四半期決算で確定していたからです。

(4)液晶カルテルの和解で合意

欧州委員会で調査が続いている液晶カルテルを巡っても、支払いが見込まれる和解金を特別損失に引き当てる。液晶カルテルの和解金については、昨年も米デルなどと約160億円の支払いで合意している。
シャープは、液晶カルテルの和解で合意していますが、和解金の引当金であるため、すぐに現金は流出しません。シャープが再建計画は策定する中で、手元現金が減少する要因に、いずれなりますね。

(5)自己資本比率がさらに低下

経営再建に必要な主力取引銀行の支援を受けるため、シャープは14年3月期の最終黒字を必達目標としている。前期決算に多額の特別損失を盛り込めば今期の固定費低減につながり、利益の押し上げ効果を期待できる。ただ、最終赤字の拡大により昨年12月末に9.6%だった自己資本比率はさらに低下する可能性がある。
シャープの自己資本比率低下について、シャープ資本 増資の真相は年金債務であることを見ましたが、増資金額を増額するのかポイントになりそうですね。シャープの増資動向について見てみましょう。

シャープ増資と株価低迷の理由を考えると、増資による株式希薄化以外の要因もありそうですね。シャープは年金債務の一括計上により、資本不足は続くことになり、社債発行は当面、不可能な状況が続きます。

(6)シャープの業績リーク

シャープは14日に中期経営計画と前期の連結業績を発表する予定。12年10月~13年3月期(下期)の営業損益は従来予想を上回り、200億円強の黒字を確保したもよう。
シャープの中期経営計画は遅れていますが、シャープ決算予想 銀行員とドンブリ勘定の真相を見ると、シャープが販売計画を規模的な観測で積み上げていたことが分かりますね。シャープの赤字拡大報道で気になるのは、決算発表前に誰が情報リークをしたのかが気になりますね。

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