シャープ アップル製品の受注失敗(2)

シャープは、アップルに液晶パネルを供給する代表的なサプライヤーですが、アップル製品の成長減速やシャープの経営失敗が取引関係に影響を及ぼしている可能性があります。

(1)アップルのiPhone液晶パネル納入企業

前回、シャープ提携の成果(1)が限定的であることについて見ていきましたが、提携によりアップルとの関係に変化がでた可能性があります。
アップルは早ければ夏にもアイフォーン5をマイナーチェンジした5Sと、新興国向けの廉価モデルを発売する。どちらもパネルは5と同じく、ジャパンディスプレイ(JDI)、韓国LGディスプレイ、そしてシャープの3社が供給することになりそうだ。仕様も5と変わらない。
アップルのiPhone5とiPhone5Sで液晶パネルを納入する企業について見てみましょう。
  • シャープ
  • ジャパンディスプレイ(JDI)
  • 韓国LGディスプレイ
韓国LGは為替レート円高ドル安の是正により、大幅な減益となっており、日本企業の競争力拡大のチャンスですが、シャープは厳しいようですね。

(2)サムスンとの提携で変化か

ただ、発注量については、各社大差がなかった5のときは変化が起きそうだ。ある業界関係者は「アップルのシャープに対するスタンスが以前より冷淡になったように見える」という。
シャープ サムスン提携の今後 真相は毒薬条項がありますので、ライバルのサムスンと提携したことで、アップルの取引関係に影響がでるのは自然のことですね。

(3)シャープiPhone5Sの量産に遅れ

JDIは今月から5S用パネルの量産を始めている。シャープはアップルの最終承認で後塵を拝し、5月ごろからの量産にずれ込みそうだ。JDI、LGは今年後半に中小型液晶ライン増強するため、シャープは供給能力でも離されてしまう。
アップルに液晶パネルを納入する、日本企業のJDIとシャープを比較すると、量産時期がずれ込んでいます。
  1. 2013年4月 JDIがアップルのiPhone5S向け液晶パネルの量産開始
  2. 2013年5月 シャープがアップルのiPhone5S向け液晶パネルの量産か
  3. 2013年後半 JDIとLGが中小型液晶ラインを増強
シャープiPhone5Sの量産に遅れたということは、JDIとLGがアップルの最低必要量を生産する一方で、シャープは下請けとして生産変動分を引き受けることで稼働率の安定が難しい可能性があります。

(4)シャープiPhone5S受注で業績回復は限定的

そもそもアイフォーン5自体、3Gや4の時代の勢いがない。5Sで劇的に復調するとは考えにくく、亀山第1の5S特需は2~3ヶ月で終息する可能性もある。
シャープiPhone5S受注の生産量は限定的で、業績回復は減損損失の回避に留まるかもしれないですね。シャープ亀山工場内部とアップルの真相でまとめましたが、亀山第1工場はアップルに独占供給する契約ですので、稼働率低下のリスクがあることが分かります。

(5)iPadミニの受注失敗

亀山第1の隣にある第2工場はさらに悲惨だ。亀山第2で受注したアイパット用パネルの生産も止まっている。パネルを供給するアイパットは昨年11月に廉価版のアイパットミニが発売されてから苦境が際立つ。シャープはコスト面で対応できず、ミニの受注を逃した
シャープはiPadミニはコスト面で対応できず、受注を逃していますが、為替レートの円高ドル安是正により競争力が復活しているのかがポイントになりそうですね。シャープが液晶パネルの量産技術と低コスト化で敗北すると、液晶事業の復活は困難になるからです。シャープ サムスン提携で下請けの真相(3)に続く。

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