シャープ経営者の能力不足で経営悪化(5)

シャープは経営者の能力不足で、液晶事業で稼いだ利益を全て無駄にしました。シャープは、ソニーやパナソニックよりも資産リストラや役員報酬削減が遅れていますが、経営者の能力不足で経営悪化が進んだことが分かりますね。

(1)シャープ資産売却とリストラに遅れ

シャープは家電大手三社の中でリストラが遅れていますが、ソニーやパナソニックは資産売却により有利子負債の削減を進めようとしています。

シャープは財務が弱いことについて、シャープ決算予想 銀行員とドンブリ勘定の真相により明らかにされていますが、経営者の意思決定の遅さが財務戦略の貧弱さを際立たせていますね。

(2)シャープの資金繰りと有利子負債を返済

前回、シャープ アップル受注とIGZO取引は不調(4)について見ましたが、シャープはサムスンと中途半端な提携を行ったものの、経営再建が厳しいことを見てみましょう。
有利子負債は優に1兆円を超えている。9月には2000億円の新株予約権付社債の償還も迫る。 
メインバンクであるみずほコーポレート銀行と三菱UFJ銀行からは「われわれは液晶事業の存続にはこだわらない。キャッシュをきちんと生むような成長戦略を描いてほしい」(メイン行関係者)と圧力がかかる。
シャープは有利子負債が増加していますが、みずほコーポレート銀行と三菱UFJ銀行は大口債権者ですので、資金回収を優先しており液晶事業の継続が必ず必要と考えていないようですね。
シャープは銀行役員受け入れを、当初、断っていましたが、経営が迷走し続けました。シャープの財務戦略は貧弱ですが、銀行が役員を派遣することで、適切な減損損失の計上を行った可能性がありますね。

(3)シャープの液晶事業リストラと設備投資不足

カネのないシャープは、12年度の会社全体の投資額を前期比約300億円減の900億円弱にとどめた液晶事業を続けるには一定規模の投資継続が求められる。ここからさらに大きく減らすのは難しい。
シャープは設備投資を減額していますが、液晶事業のリストラ不足のため、投資が液晶事業に吸収されるようですね。
設備投資合計(減額)=液晶事業の設備投資(維持)+他の事業の設備投資(減額)
シャープ全体の設備投資が減額される中で、液晶事業だけを優遇するわけですので、他の事業の競争力は当然ですが低下します。

(4)白物家電は海外生産で為替レートの影響を受ける

複写機や白モノ家電だけでは営業利益700億~800億円を出すのがやっとだ。海外生産、国内販売の多い白モノ家電は、円安の影響で今期は減益となる可能性が高い。借金返済の原資としては心もとない。
シャープは、白物家電を海外生産しているようですが、液晶パネル事業は本来、輸出を見込んでおり、為替がバランスするように考えていたのでしょうね。
  • シャープ液晶事業 国内生産 為替レート円安ドル高で利益増加
  • シャープ白物家電事業 国外生産 為替レート円安ドル高で利益減少
シャープが液晶事業の輸出を増やせば、業績に有利に働きますが、アップル向けの液晶事業はシャープの生産失敗により伸び悩んでいるようですね。

(5)シャープの液晶事業は海外と提携か

ハイリスクであってもシャープは液晶事業をやめるわけにはいかない」ドイツ証券の中根康夫アナリストは指摘する。負担を抑制しつつ投資を続けるには、他社との提携がカギになる。「10年に生産設備を売却した南京中電熊猫信息産業集団有限公司(CEDパンダ)との提携強化は有望な選択肢だ」
シャープの液晶事業は、先行きが見えないですが、海外企業と提携する選択肢もあるようですね。シャープが海外企業と提携を検討しているならば、シャープ ホンハイと台湾を裏切りを行ったので一貫性がないですね。

シャープに対して、ホンハイが役員退任を指摘した可能性もあり、経営者が保身で提携を断った可能性がありますね。

(6)シャープ組織再編で亀山に新しい部署を新設

シャープは4月1日付で組織を再編し、亀山にデバイスビジネスグループを新設した。グループを統括するのはヒラの執行役員から専務に昇格した方志教和氏。半導体などデバイスの拠点である福山(広島)で実績を積み、ここ10年はIGZO液晶など中小型液晶事業にも携わった。アップルビジネスにも精通している。
シャープは、亀山に新しい部署を新設したようですが、経営悪化した企業が組織再編を行って社内が混乱するケースはよくあります。シャープの生産技術に精通した方が新しい役員になったようですが、IGZO液晶のよさと限界を知っている方かもしれないですね。

(7)シャープ経営者は能力不足

方志専務率いるデバイスビジネスグループには、液晶エンジニアリング事業本部が新設された。CECパンダとの合併事業などを強化する目的だという。生き残りの形を探りながら、シャープは次のハイリターンに賭ける
シャープは液晶事業が好調なときに稼いだ利益を、堺工場と亀山工場の投資に失敗して、回収できずに無駄にしてしまいました。

シャープは目先の資金繰りが厳しいときに、東洋経済はハイリターンに賭けるとしており、経営者の能力不足で次の成長事業がないことが分かりますね。ソニーは役員報酬の削減を発表していますので、シャープはより一層行う必要がありますが、動きがないですね。シャープ片山会長リストラ理由を見ると、会社の責任者を明確にするとともに、倒産寸前になった責任をとるようですね。

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