(1)シャープとアップルの取引状況とサムスン
シャープはアップルとの取引が不調なため、亀山第一工場のラインが生産停止しましたが、サムスンとの提携による取引拡大による業績回復が経営方針でした。シャープとサムスンの取引は、シャープが下請のため受注変動の調整弁として用いられており、工場稼働率は変動が激しく儲からない状況です。シャープがアップルからの受注で、工場稼働率を上げようとしていることを2013年4月27日の東洋経済が報じているので見てみましょう。
(2)シャープがiPadとiPad miniの受注のために営業
アップルは今年後半にも、アイパッドとアイパッドミニをモデルチェンジする可能性が高い。シャープはこの2機種を受注するべく営業に動いている。初代動では受注できなかったミニも、「次は可能性がある」(シャープ関係者)と意気込む。シャープはアップルからiPadとiPad miniの受注のために営業を行っており、受注の可能性があると意気込んでいます。シャープ決算予想 銀行員とドンブリ勘定の真相を見ると、シャープの受注予想は見通しが甘くなる傾向があることが分かりますね。
(3)iPad向けパネルで、サムスンに生産競争で敗北
しかし複数の観測筋は「いずれもシャープが受注するには厳しい状況だ」と予測する。
理由の一つに、昨年のアイパッド向けのパネルでの出遅れがある。サムスンより数ヶ月遅れでの出荷となり、その後もなかなか歩留まりがあがらなかった。シャープは、サムスンとのiPad向けパネルの生産競争で敗北しており、製造技術や生産体制に疑問符が投げかけられているようですね。
(4)シャープの経営者は製造業の常識を理解せず
iPadは亀山第二工場のラインで、IGZOパネルを供給していましたが、製造業の常識として新製品は歩留まりが上がりにくいのを、経営者は理解していないようですね。シャープはIGZOが突出した技術であることを宣伝していますが、複数社から製品を仕入れていることを考えると、製品スペックが突出していると無駄な性能になります。
アップルはIGZOの性能よりも生産遅延により、本来得られた利益を得ることができなかったことで、シャープは下請けとして取引先の信頼を失っていることが分かりますね。
(5)シャープがアップルから受注できない可能性
現行のアイパッドはアイフォーン同様3社供給だが、次は販売計画量自体が少ないため、サムスンとLGの2社供給で済むとの見方も優勢だ。シャープは生産遅延だけでなくサムスンとの出資提携により、アップルからの信頼を失っていますが、iPadとiPad miniの受注ができい場合を考えてみましょう。シャープ サムスン提携で下請けの真相(3)でまとめたように、亀山第二工場はサムスンの下請で利益があがらない状況が続くことになります。
(6)シャープのIGZOは業績改善に貢献せず
5月14日には2012年度の決算発表と中期経営計画の発表が控える。シャープは昨春に立ち上げたIGZO液晶を再建の切り札に据えている。省電力を特色とする商材であり、シャープだけが量産している。
奥田隆司社長は自社の技術について「もっともっとポテンシャルがある」と言う。ただ、IGZO液晶は現時点で収益に貢献するような有力受注先を確保できていない。シャープのIGZOは、現時点で業績改善に貢献していないことが分かりますね。企業が製品を調達する際に、リスク分散のために複数社から調達を検討するのが常識ですので、シャープだけが量産しているIGZOが売れないのは自然な流れですね。シャープ経営者の能力不足で経営悪化(5)に続く。
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