(1)シャープ自己資本不足は継続
シャープ サムスンに液晶パネル供給(2)についてまとめましたが、2013年3月6日の日本経済新聞3面の続きを見てみましょう。シャープの財務の安定性を示す自己資本比率は昨年12月末で9.6%。同9月末に比べて0.3ポイント低下した。1割を割り込む危険水域から脱するため、昨年12月には米半導体大手クアルコムから100億円の出資を受け入れることを決めた。シャープは、業績悪化により自己資本比率が急低下しており、シャープ倒産の可能性 確率は94.9%とみているCDSが発表されていました。シャープは、クアルコムとサムスンとの提携により少額の出資を受けましたが、1000億円規模の増資が求められています。
(2)シャープ、ホンハイとの資本提携は困難か
さらに今回のサムスンとの資本提携で自己資本は厚みを増すが、財務基盤の立て直しには1千億円規模の資本増強が必要。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業を引受先とする約670億円の第三者割当増資は実現の可能性が薄れ、財務の脆弱性は残ったままだ。シャープは、出資受入れが決まっていますが自己資本の水準からすると、さらなる自己資本を積み増すことが必要な財務状況が続いています。シャープには隠れ借金である年金債務があり、これが自己資本不足解消を急ぐ必要がある理由でもあります。
(3)シャープ増資が必要な理由と年金債務
シャープは年金債務の引当金が不足しており、年金債務を計上すると自己資本比率が急落します。シャープは増資を迫られているますが株価が低迷しており、第三者割当増資は株数の大幅な増加により、株主価値を大きく毀損します。シャープが第三者割当増資を困難であると判断した場合、銀行の協力を得てDDSやDESが方法としてありますが、銀行の株主が損失を被る可能性があります。
(4)シャープ3600億円の協調融資契約を締結済み
シャープは昨年9月、海外のテレビ工場売却や国内外で1万人の従業員削減を柱とした経営再建策を主力取引銀行であるみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行に提出。両行と総額3600億円の協調融資契約を結び、当面の運転資金は確保した。シャープは海外工場のリストラを発表していましたが、ホンハイとシャープ 海外工場リストラの値段と交渉難航しており、ホンハイとの関係が危ぶまれていました。シャープがサムスンと提携を選んだことで、ホンハイとは疎遠になる可能性が高いのではないでしょうか。
(5)シャープ銀行取引と手元資金の懸念
ただ協調融資の期限は今年6月まで。9月には約2000億円の新株予約権付社債(転換社債=CB)償還を控える。昨年12月末時点の有利子負債は約1兆1827億円。昨年8月には13年3月末までに9000億円に減らす計画を掲げていたが、思うように進んでいない。シャープは銀行と3600億円の協調融資契約を結んでいますが、社債償還資金を銀行融資で調達できるのかどうか不透明な状況が続いています。シャープ格付格下げの理由 短期有担保借入の増加であり、有利子負債が減少してないため、社債の再発行は事実上、不可能な状況ですね。
(6)シャープ銀行役員受入れと資金繰り
今春にはみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行から役員含みで経営幹部を迎え入れる方向で調整している。主力行と連携を深めながら、当面は資金繰りを支えてもらう考え。さらに公募増資などについても可能性を探るとみられる。
シャープ銀行役員を受入調整の理由を見ると、シャープは過去に断っていますが、そのときよりも資金繰りが悪化していることが分かるのではないでしょうか。シャープ サムスン出資の理由(4)に続く。
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