シャープ ホンハイと台湾を裏切り(1)

シャープは、ホンハイと台湾を裏切り、サムスンと提携することを決断しました。シャープのホンハイに対する姿勢は、ビジネスとしてのしたたかさは感じますが、日本人としての誠実さは感じないですね。

(1)鴻海会長とみずほコーポレート銀行の佐藤頭取達が対談

シャープの経営危機の深刻化と経営陣が迷走していることにについて、2013年3月30日の週刊ダイヤモンドが報じているので見てみましょう。
3月6日午前、東京大手町のみずほコーポレート銀行(CB)本店ビルの11階。 
来日中だった台湾の鴻海グループのトップ、郭台銘(テリー・ゴウ)会長が姿を現すと、応接フロアの空気が張りつめた。出迎えた佐藤康博頭取と担当役員の2人は、通訳者もなしで、シャープの命運を握る男と対峙していた。
シャープ役員級にみずほコーポレート銀行出身者の理由でまとめましたが、シャープは主力銀行から幹部を受け入れることが報じられており、経営悪化が深刻化していることが分かります。
  • 郭台銘(テリー・ゴウ)会長 ホンハイ
  • 佐藤康博頭取 みずほコーポレート銀行
  • 担当役員の2人 みずほコーポレート銀行
シャープは、みずほコーポレート銀行の主力銀行であることが分かりますが、ホンハイの会長が頭取や役員と面談していたようですね。

(2)シャープ買収を提案

 「シャープを丸ごと買収したい。資金を貸しませんか」 
テリー会長は挨拶もそこそこに、CBが主力銀行として経営再建を支援しているシャープへの不満をぶちまけた。
シャープの株価は、2013年3月27日15時の終値で278円、時価総額は3171億円となっています。シャープ株式の過半数を買収するとすれば、株価にプレミアムを加算したとしても、十分に銀行借入で買収できる範囲でしょう。

(3)シャープとホンハイ、最後のトップ会談対談

この前日、テリー会長はシャープの片山幹雄会長、奥田隆司社長の2人と会談をする予定だった。昨年3月、約669億円(1株550円で約9.9%)をシャープ本体に出資すると交わした契約は、昨年夏から交渉が暗礁に乗り上げたまま、26日の出資期限を迎えようとしていた。
ホンハイの会長は、みずほコーポレート銀行を訪問する前に、シャープの奥田社長とトップ会談を行う予定であったようですね。
  • 2013年3月5日 シャープの片山会長、奥田社長とホンハイのテリー会長が会談予定
  • 2013年3月6日午前 みずほコーポレート銀行、訪問
  • 2013年3月26日 シャープへの出資期限
シャープへの出資期限を考えると、シャープとホンハイのトップ会談は非常に重要な日である事が分かります。シャープがホンハイに対して、どういった対応を行い、裏切りに近い対応を行ったのか見てみましょう。

シャープ中国にIGZO液晶の技術流出が2013年6月に報道されており、ホンハイと提携せずに中国に技術供与を検討する意味がよく分からないですね。

(4)シャープが会談直前にサムスンとの提携を伝える

会談は、最後のチャンスと思しきタイミングだった。 
しかし、シャープは鴻海グループのライバルである韓国サムスンから約103億円の出資(約3.3%)を受け入れると決めていた。その二股交渉の情報が鴻海に漏れ伝わったという懸念が生じ、あわてて趣旨を通達したのだ
シャープはサムスンとの提携について、ホンハイに通達をせずに直前で伝えたようですね。シャープは、インサイダー取引や情報漏えいを懸念したのかもしれず、ビジネスにずるさは必要かもしれないですが、日本人の誠実さは感じないですね。

シャープが慌てたのは、サムスン シャープ出資報道のリークの時間を見ると、情報が伝わることを懸念したのでしょうね。

(5)鴻海会長の怒り

激怒した鴻海側は、もちろん会談をキャンセル。技術力のあるシャープと台湾資本が組み、世界を席巻する韓国メーカーに対抗するという大義名分は、もはや忘れられていた。 
「片山も奥田もダメだ。私が社長をしたほうがいい」 
関係者によると、テリー会長はそう怒りをあらわにしたという。
シャープとホンハイの関係について、シャープ提携報道の真相を見ると、液晶事業投資の経営失敗により倒産危機の責任をとった片山会長の存在が重要であることが報じられています。

シャープとホンハイ提携難航の理由に業績と株価の低迷もありますが、日本と台湾の連携という趣旨を最悪の形でシャープは壊したことが分かりますね。シャープ株価と資本増強策(2)に続く。

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