シャープ太陽電池は撤退

シャープの太陽電池事業は、欧米からの撤退を決断しました。業績の悪化により、リストラを発表しましたが、赤字の太陽電池事業も影響を受けるようです。パナソニックと比較すると、経営判断の遅れが目立つのではないでしょうか。


シャープの太陽電池を取り巻く環境

国内首位でも赤字

シャープが投資した、海外合弁事業からの撤退が報道されています。管理人は、シャープ太陽光撤退の可能性があることを、以前とりあげましたが、その理由は以下の業績です。
昨年度、各社の太陽電池事業は死屍累々で、国内1位のシャープが219億円の営業赤字を計上。ソーラーフロンティアが同288億円、京セラが同21億円と不振が際立った。(2012年10月29日週刊ダイヤモンド)
シャープは、国内シェア首位ですが赤字であり、投資縮小の経営判断を下しました。

パナソニックよりも遅い経営判断

管理人が気になったのは、赤字のシャープと黒字のパナソニックの、太陽光事業に対する投資判断のスピード差です。同じ市場の海外投資について、その経営判断を見てみましょう。

パナソニックが太陽光の海外重視を行うと同時に、投資を調整したのと比較すると出遅れたと言えると思います。パナソニック投資縮小の原因を見てみると、津賀社長が、トップの経営判断で7月に投資凍結を決断している事が分かります。

シャープが海外事業の中で、太陽光事業の撤退を決断したと、2012年12月31日の共同通信が報じているので見てみましょう。

合弁会社の保有株式売却

経営再建中のシャープが、イタリアで太陽電池を生産している合弁会社の保有株式を全て売却する調整に入ったことが30日、分かった。(共同通信)
シャープは保有株式売却の、調整に入っていることが報道されています。合弁会社の保有株式のため、相手企業との調整は必要ですが、パナソニックの社長が7月に投資凍結を決断していると日経が報道していますが、比較するとやや遅い気がします。

合弁会社 2社の概要

株を売却するのは、イタリア電力大手エネルグループやスイスの半導体メーカーと共同出資して2010年7月に設立した「3Sun」。主に産業用の太陽電池を生産している。(共同通信)
シャープは、エネルグループと太陽光発電所を欧州に建設するための合弁会社も運営している。シャープがグループで50%保有している合弁会社の株式も、3Sunの合弁解消とともに売却するとみられる。(産経新聞)
シャープの海外合弁会社の概要について見てみましょう。2012年12月31日の産経で細かい点が報道されています。
  • 2010年7月に設立した「3Sun」
  • イタリア電力大手エネルグループやスイスの半導体メーカー
  • 主に産業用の太陽電池を生産
  • エネルグループと太陽光発電所を欧州に建設するための合弁会社
  • シャープがグループで50%の株式を保有
シャープが投資しているのは、産業用太陽電池生産がメインの会社と太陽光発電所を建設する会社の2社である事が分かります。

 欧米の太陽電池事業から撤退

シャープの方針

採算が悪化している欧米での太陽電池事業から撤退する方針で、今回の合弁解消はその一環となる。(共同通信)
欧米での太陽電池の生産や販売は、12年度末までに終了する計画。(共同通信)
太陽電池事業は今後、住宅用の需要が見込める日本国内や、成長が期待できるアジアなどに絞り、収益改善を図る。(共同通信)
シャープの太陽光事業のポイントと方針を共同通信から読み取ることができます。日本、欧米、アジアに対するシャープの見方をまとめると下記のようになります。

地域ごとの比較

  • 日本は住宅用の需要を見込む
  • アジアなどは成長に期待
  • 欧米での太陽電池事業から撤退
シャープは、日本やアジアの成長を見込んでいます。

ライバル企業は投資済み

冒頭に説明しましたが、パナソニックは投資を縮小していますが、パナソニックが太陽光の海外重視により完成した工場により、コスト競争力が大幅に向上しています。
マレーシアで新工場を稼働。海外拠点としては初めて、材料加工からパネルの組み立てまで一貫で生産する。生産コストを2割ほど減らせる見通しで、海外勢に対する価格競争力を高める狙いだ。
シャープは、生産コストを2割削減したパナソニックや海外企業などと競争しなければなりません。シャープは、欧米に投資した、太陽電池事業から撤退を決断しましたが、日本やアジア市場でも競争は、容易ではなさそうです。

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