日経ビジネス2012年3月29日版より
ホンハイ会長 シャープとの会談をドタキャン
ホンハイの郭会長は来日後、シャープ堺工場を見学、シャープ首脳陣と記者会見と堺工場見学が予想されていた。ところが、シャープ堺工場でホンハイ会長がドタキャンをしており、相談役の町田勝彦(69)と社長の奥田隆司(59)の2人も、交渉の場を持てなかった。その理由について、2012年11月21日の日経新聞2面を見てみよう。
馬英九 台湾総統と親密な関係
唐突に見える郭の行動には理由がある。一つは台湾総統、馬英九(62)との約束だ。馬は2008年に郭が再婚したときの婚約立会人で、2人の親密さは有名だ。今年1月に再選を果たし、5月に総統2期目に入った馬は郭にこう言ったとされる。ホンハイの郭会長は、台湾の馬英九総統と親密な関係にあるようだ。世界的な大企業である、ホンハイを率いるという事は、経済的にもかなりの実力者であり、政治の実力者との関係はあるであろう。
「ホンハイ・シャープを台日経済連携の象徴にしたい」
郭会長の再婚のときに、馬英九総統が婚約立会人であった事を考えると、ただの経済と政治の実力者の関係ではなく、親密な関係が浮かび上がる。
台日協調の演出ができず
今回の訪問団で郭は、馬総統をもり立て。「台日協調」を演出したかった。しかし日本での関心は自分に集中し、車での移動中もテレビ局のバイクに追い回された。台日協調どころではなくなってしまったのだ。郭会長の日本訪問の目的の一つは、日本と台湾の協調を演出し、馬総統をもり立てることであったようだ。
馬総統と聞くと聞いたことのある人もいると思うが、ホンハイの名前を聞いた事がある人は初めての人が多かったのではなかろうか。メディアの関心が、郭会長に集中したが、これは予想外であったようだ。
シャープの業績悪化と株価下落
シャープとの関係がぎくしゃくしていたことも理由の一つ。シャープの業績と株価の落ち込みは郭の想定を超えていた。本来ならシャープの方が資本増強を急ぐ場面だが、その気配はない。真意をつかみかねた郭は、静観を決め込むことにした。政治面に加えて、シャープの業況の悪化も、ホンハイがシャープとの提携交渉を躊躇した理由の一つのようだ。業績悪化により、シャープ株は目標株価下げの判断を証券会社を下している。
企業経営者として、郭会長がホンハイのリスクを極小化。ホンハイとシャープの提携を焦らない姿勢は企業家として適切であろう。そもそも、ホンハイが提携を焦る理由はないからである。
シャープはホンハイと提携をどうするのか
シャープ社内からは「ホンハイ抜きでも再建は可能」という声が漏れてくる。しかし現時点で出資する意思を示しているのは、ホンハイだけ。郭はシャープが万策尽きるのを待つつもりかもしれない。少額の出資は、クアルコムが発表。銀行の肩代わり融資の発表、円安ドル高傾向などが材料となり、シャープ株価が2倍以上に上昇している。
株価は上昇しているものの、財務状態が抜本的に改善したわけではない。シャープの経営の舵取りと業績に注目が集まりそうだ。シャープのテレビ事業をホンハイが再建(6)に続く。
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