(1)シャープがサムスンに液晶パネルの供給拡大
シャープ サムスン提携と自己資本不安(3)についてまとめましたが、シャープ増資が必要な理由は業績の悪化と隠れ年金債務です。シャープにサムスンが出資した理由について、2013年3月6日の日本経済新聞を見てみましょう。シャープは主力の亀山工場(三重県亀山市)などで生産する薄型テレビ用の32インチパネルの一部をサムスンに供給してきた。サムスンからの出資受け入れで財務を改善するとともに、テレビやスマートフォン(スマホ)向け液晶パネルの供給を拡大する。シャープがサムスン出資を受け入れた理由について簡単にまとめたものが下記です。シャープがサムスン出資受入れのメリットについて日経新聞が述べていますが、かなり楽観的ではないでしょうか。
(2)シャープとサムスンの提携が楽観視できない理由
- シャープはサムスンの100億円出資受入で財務改善
- シャープがサムスンに液晶パネルの供給拡大
シャープがサムスン向けに液晶パネルを供給拡大したとしても、どの程度の利益になるのか言及がありません。シャープはサムスンの下請けになるうえに、サムスンも液晶パネル製造工場を持っているので、利益率はかなり低いことが想定されます。
(3)シャープ亀山工場の減損処理回避が目的か
米アップルがスマホ「iPhone5」用パネルの生産量を当初計画より減らしたこともあり、亀山工場の稼働率は5割以下に低迷。この状況が続けば減損処理など業績への悪影響も懸念される。シャープは亀山工場の稼働率が低下しており、減損損失の計上リスクがあります。
シャープのアップル向けビジネスは失敗しており、亀山工場は巨額の減損損失計上を回避するためにサムスンの出資を受け入れたようですね。
(4)サムスン向けの液晶パネル販売価格が不明
サムスン向けのパネル供給を拡大することで、工場稼働率を改善し連結売上高の3割を占める液晶パネル事業の営業黒字化を急ぐ。シャープはサムスン向けの液晶パネル供給拡大を発表していますが、販売価格や利益についての数字を出さない限り、信憑性は低そうですね。
(5)シャープは下請けから脱却できるのか
一方、サムスンは価格下落が続く液晶パネルを、工場建設などの新規投資を抑えつつ、シャープから安定調達できる。安値攻勢を強める中国や台湾のメーカーに対抗するため、両社は液晶パネル以外に協力分野を広げることも今後、検討する。シャープの亀山工場は、アップル向けの下請工場でしたが、それがサムスンに変わっただけの可能性がありますね。
- アップルのiPhone5は中小型液晶パネルのため単価が高い
- サムスン向けはテレビ向けやスマホ向けの液晶パネルのため単価が不明
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