海運業界の動向(2)

海運会社は船舶を全て保有しているわけではなく、船舶のオーナーから借り、お互いに発展している歴史があります。





海運業界の動向(1) の続きです。

中堅の海運会社が苦しむ仕組み

船主から海運会社が船を借りる契約(用船料の決定)
   ↓
海運不況の長期化
   ↓
運賃収入の下落
   ↓
用船料が高くなり、赤字に
   ↓
中堅クラスで専業の場合、経営危機に陥る

荷主の合併による影響

・新日本製鉄と住友金属工業が合併により、合理化の可能性あり

・新日本製鉄がNSユナイテッド海運、旧住友金属工業が第一中央を原料輸送の主力取引先

・NSユナイテッド海運は日本郵船が出資 第一中央は商船三井が出資

愛媛県今治市周辺に船主が集中




・愛媛県今治市周辺には大小の船主が集中。

・900隻を保有し、ギリシャ船主と並び称される一大勢力だ。

105隻を持つ洞雲汽船(今治市)の保有船は00年代初めは20隻程度だったが、海運会社と二人三脚でばら積み船を増やした。商船三井が運航する国内最大の鉄鉱石船も洞雲の船だ。

海運会社と船主の関係

・海運会社が船を全て自前で造れば、費用がかさみリスクも大きい。新船発注に際し、船主に資金を出してもらい完成後に借り上げる。

・日本の外航船約2800隻の7割近くが船主からの借用だ。

日経記事


試練の海運(下)運賃の読み外れた中堅―荷主の物流集約追い打ち。
2012年10月24日 11面

今月1日、商船三井がグループの中堅海運会社、第一中央汽船に150億円の融資枠を設定した。来年3月までの期限付きで運転資金を支援する。

同社は資源輸送船(ばら積み船)の専業。運賃低迷で2013年3月期は80億円の最終赤字を見込む。
赤字はリーマン・ショックが起きた09年3月期以降4度目になる。

計画は4割増

第一中央は昨春、大型船の運賃回復などを見込んで、15年度末までに運航する船を10年度末より約4割多い280隻に拡大する計画を打ち出した。
 
ばら積み船には荷主と長期契約を結ぶ場合と、日々の運賃相場を映すスポット契約がある。建造費や船を借りる用船料が安い不況期に船を手当てし、運賃が反転したときにスポットで大きく稼ごうとする企業は少なくないが、読みが外れたときの傷も深い。

コンテナ船、タンカー、自動車船など複数の事業を持つ大手と異なる「一本足打法」の中堅が陥りやすいわなだ。
 
7月に2度目の経営破綻に至った三光汽船の元経営陣の1人は「海運不況の長期化で結果的に用船料が割高になり、逆ざやが広がった」と話す。船の借り賃の総額が運賃収入の2倍強にのぼっていたもようだ。
 
大口荷主の動きも経営に影響を与える。合併で今月発足した新日鉄住金は、旧新日本製鉄がNSユナイテッド海運、旧住友金属工業が第一中央を原料輸送の主力取引先にしてきた。

統合効果を引き出すための物流合理化がシェア見直しにつながる可能性がある。
 
NSも今夏、増収や最終損益の黒字転換を果たすとしていた13年3月期の当初予想を全て「未定」に修正するなど厳しい状況。

NSに出資する日本郵船や、第一中央を抱える商船三井も巻き込んだ「荷主争奪戦」になるとの見方もある。

船主にも影響

中堅が生き残るにはまず身軽になる必要がある。違約金支払いで当面の負担が膨らんでも、用船料が高い船を契約満了前に返したり、新船の建造契約を解約したりする動きが出てきた。その影響は船の貸し手である船主に波及する。
 
「エヒメオーナー」。愛媛県今治市周辺には大小の船主が集中する。900隻を保有し、ギリシャ船主と並び称される一大勢力だ。

105隻を持つ洞雲汽船(今治市)の保有船は00年代初めは20隻程度だったが、海運会社と二人三脚でばら積み船を増やした。商船三井が運航する国内最大の鉄鉱石船も洞雲の船だ。
 
海運会社が船を全て自前で造れば、費用がかさみリスクも大きい。新船発注に際し、船主に資金を出してもらい完成後に借り上げる。「船主と海運会社は持ちつ持たれつだ」。日本の外航船約2800隻の7割近くが船主からの借用だ。
 
洞雲は三光や第一中央にも船を貸している。用船料はドル建てのため円換算の収入が目減りするなど楽でないが、大河内源二社長は「逃げるわけにはいかない。
これまでも共に嵐を乗り切ってきた」と、用船料減額などに応じる考えだ。
 
海運会社が弱体化すれば船主は借り手を失い、船主が疲弊すれば海運会社は船を思うようにそろえられなくなる。どこまで痛みを分け合い、互いに我慢できるか。
海運不況が長引けば淘汰の時代がやってくる。

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