ソフトバンク 米携帯会社の買収資金調達 銀行の早い対応

ソフトバンクが米スプリント社の買収を発表しましたので、その概要についてです。資金調達に注目すると、買収資金は銀行融資ですが、銀行の早い対応が記事から分かります。スピード重視ですね。

ITメディア より

株式取得の方法について

ソフトバンクの米スプリント買収が合意に近づく、総額1.6兆円
2012年 10月15日 16:31 JST
・ソフトバンクは、スプリント・ネクステルの株式約70%を約200億ドル(1兆5700億円)で買収

・約80億ドル(6280億円)でスプリント・ネクステルが発行する新株を引き受け

120億ドル(9420億円)相当を既存株主から取得

・スプリントの企業価値は約286億ドル(2兆2450億円)となる計算で、12日の終値にもとづく時価総額を3分の2ほど上回る
簡単に上記をまとめます。

(1)買収資金の使い道

全体200億ドル=新株引き受け 約80億ドル+既存株主から取得 約120億ドル

(2)ソフトバンクの企業価値と市場価格

【ソフトバンクの買収価格から算定】

約200億ドルで約70%の株式→200億ドル÷0.7=約285.71億ドル


【スプリントの時価総額から算定】

約286億ドルで、時価総額を3分の2ほど上回る→286÷(5/3)=約171.6億ドル

買収後と契約数と市場の反応

・スプリントの契約数は6月末時点で5600万件超。買収が実現すればソフトバンクのグループ契約数は9000万件に膨らみ、米2位のベライゾンにほぼ並ぶ

・買収のニュースが報じられた翌日、ソフトバンクの株価は急落
・S&Pは12日、長期会社格付けと長期優先債券(既発債)の格付けBBBを引き下げる方向でクレジット・ウォッチに指定
買収により、携帯電話事業が拡大。規模の経済をどのようにに生かしていくのかも、ポイントの一つでしょう。

ボーダフォン日本法人買収のときよりも、携帯電話事業がキャッシュを生む体制になっていますので、ソフトバンクの財務体質は改善しているように思います。


買収によるリスクを懸念し、株価は下落。
財務体質の悪化については、格付け会社が、引き下げ方向と発表しています。

買収は銀行融資で行われる

<メガ銀行は緊急融資を決定>
別の関係者によると、主力銀行のみずほコーポレート銀行を含むメガバンク3行などは、ソフトバンクに対し、総額1兆6500億円の緊急融資を決めた。ソフトバンクは借入資金を、スプリントの株式取得資金に充当する。

株式買収は約70%の見込み、約200億ドル(1兆5700億円)と報道されています。

従って、銀行融資でフルカバーの計画であることが分かると思います。

銀行の融資実行の特徴

みずほCBのほか、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行は15日午前までに機関決定を済ませ、融資実行を約束するコミットメントレターをソフトバンクに提出。資金調達にメドが着いたことから、ソフトバンクは買収の正式合意を目指す。融資には、ドイツ銀行も加わる。

以前から、取引銀行に話があったのかは、今のところ報道されていませんが、1兆円を超える融資の金額であるのに対して、各銀行ともに素早い対応であるように見受けられます。

日本政策投資銀行

コミットメントレター
レンダーが借入人との間に正式な融資契約を締結する前に、レンダーとしての融資の意思を表明するために借入人に対し提示されるレター。レンダーはそのレターの中に、融資契約締結としてのコミットに至るための留保条件を付する場合が多い。

レターの留保条件が、もしもついていたならば、少し気になりますね。

銀行の対応が素早かったと思う理由が下記の内容。管理人は、この部分が一番重要であると考えています。

当初は、3行が協調して1本の融資のかたちを取るシンジケート・ローンも検討したが、時間的な猶予がないことから、各行が協調しながら個別に融資することになった。当面は、つなぎ融資として実行し、今後、長期融資に切り替える。
シローンによる対応を検討していましたが、スピードを優先。
協調するものの個別融資を行っています。

おそらく、融資時期・金額・期間・金利・保全などのことでしょう。

今回の買収決定から融資実行の決定に至るまでが、スピード勝負であったことが分かると思います。

報道を見ると、当初は短期のつなぎ融資を、各銀行が行い。
長期融資に切り替えるとなっています。

今後の続報、もしくは長期融資の条件が報道される中で、スプリント・ネクステルの買収資金の返済計画が報道されそうですね。

スプリント社 業績

ソフトバンク プレスリリース より


ソフトバンク業績予想


スプリント社は、営業利益が黒字に転換する事がポイント。
当期純損益ベースでは赤字であり、ソフトバンクとのシナジーを発揮できるのかポイントの一つ。

日米で比較すると、日本の方が金利が安い。
ソフトバンクからの資金を活用する事で、米国で借入を行うよりも安く資金調達可能。

追記
ソフトバンクについて、ソフトバンク買収と金融戦略でまとめています。ソフトバンク銀行融資とスプリント買収(7)で触れましたが、銀行融資は1週間で決定されたようですね。

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