(1)シャープ増資報道と銀行の認識
シャープの年明けの増資報道で、株価に注目していた投資家、投機家の方は多いと思います。シャープの報道で、触れていた部分で2012年度第3四半期決算及び2012年度決算発表でポイントになる部分があります。シャープとみずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行の主力2行などは、自己資本比率を少なくとも10%超に高める必要があるとの認識で一致した。(読売新聞)
シャープは11、12年度と2年連続で巨額赤字を計上し、13年3月末の自己資本比率は8%程度に低迷する見通しだ。(読売新聞)
このまま14年3月末を迎えると、自己資本比率が2~3%に低下する見通しで、債務超過に陥る危険性がある。(読売新聞)シャープの2013年1月1日の読売新聞の報道で、シャープの増資以外で重要な上記のポイントをまとめます。
(2)自己資本比率が銀行との合意よりも低い
- 銀行とシャープは、自己資本比率を10%超に高める必要性を認識
- 2013年3月末の自己資本比率は8%程度の見通し
- 2014年3月末を迎えると、自己資本比率が2~3%に低下する見通し
(3)年金債務計上による負債の増加
シャープなど日本企業の年金債務が与える影響への懸念について、2012年10月5日の産経新聞が報じているので見てみましょう。企業会計基準委員会は、平成26(2014)年3月期から、企業年金の積み立て不足の全額を、貸借対照表(バランスシート=BS)に計上する新たな会計基準の適用を義務づける。(産経新聞)
これまでの日本の会計基準では、積み立て不足額全額をBSに計上する必要がなく、不足額は15年以内に分割して処理すればよかった。(産経新聞)
このため、退職給付引当金として負債計上している金額が、新基準で必要になる計上額に比べて大幅に少ない企業が多い。(産経新聞)日本企業の年金債務計上の会計処理と、新しく変わる点について簡単に説明します。
(4)年金債務の変更点とまとめ
- 平成26(2014)年3月期から、企業年金の積立不足全額を、貸借対照表に計上
- 年金債務は不足額は15年以内に分割して処理でよかったが変わる
- 退職給付引当金の大幅な積立不足の会社が多い
年金債務の性格を考えると、社歴の長い企業は、OBや社員が多く負担が膨らむ事は想像がつくと思います。財務に余力のある会社は前倒しで行っていますが、シャープの事例を見てみましょう。
(5)退職給付引当金の積立不足が約800億円
シャープの場合、24年3月期の連結BSに退職給付引当金として60億円を計上しているが、実際の積み立て不足額は784億円に上る。(産経新聞)
同社は25年3月期決算で2500億円の最終赤字となる見通しを発表しており、BS上の2兆円規模の負債に対し自己資本は3950億円程度に急減。26年3月期に積み立て不足が反映されれば、自己資本がさらに大きく減るとみられる。(産経新聞)シャープの増資について、シャープや銀行が検討していると報道された理由で年金債務に触れられていました。シャープは業績悪化に加えて、隠れ借金があるということですね。
(6)営業利益ばかりの報道に疑問
シャープ業績予想は飛ばし記事がひどいことを、以前に指摘しました。シャープの年明けの業績報道は営業利益ばかりで、金額も新聞社によって異なります。シャープの今後を考えると、最終損益や資本の増減が重要になりますが、それを報道できない事はマスコミや記者の限界なのでしょうか。シャープLIXILに出資要請を行っていますが、年金債務引当で過少資本になりますので、増資の動向に注目が続きそうですね。
シャープ増資と株価低迷の理由でまとめましたが、シャープは1200億円の増資に成功しています。シャープは増資に成功したものの、年金債務の計上で増資分の資本増加が、会計上は消滅することになります。シャープの自己資本比率は、非常に低い状況が続きますので、再度の増資も視野に入っている可能性がありますね。
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