シャープ財務と借入のポイント

シャープ財務と借入のポイントについて見ると、複数の資金調達手段と資産売却による資金確保が複雑な事が分かります。シャープのお金の面で、いくつかポイントを整理したいと思います。


(1)シャープ資金調達のポイント

シャープはレノボと提携することで、中国南京工場の売却と中国で販売拡大により堺工場と亀山工場の稼働率を上げようとしていることが、2013年1月17日の日経新聞1面で報じられています。

シャープの財務面の課題について、11面が分かりやすく説明しているので見てみましょう。シャープ資金調達のポイントについてまとめると以下のようになります。
  • みずほコーポレート銀行と三菱UFJ銀行から3600億円の運転資金借入
  • 転換社債の償還資金確保
  • 資本調達やDESなどによる自己資本比率の改善
シャープの財務の課題は、この3つを並行して行う必要がり、報道も並行している事から分かりにくいと思います。シャープの財務と借入について、見てみましょう。

(2)中国で販売、液晶パネル工場の稼働率向上が狙い

シャープが海外のテレビ組み立て工場の一部売却にメドをつけたことで、再建計画が一歩前進する。中国のテレビ市場におけるシャープのシェアは約5%。強力な販売網を持つレノボと組むことで、日本国内の液晶パネル工場の稼働率向上を狙う
シャープの主要事業を見ると、液晶テレビや液晶パネル事業が占める売上高の割合が大きい事が分かります。デジタル家電の現状と今後、シャープとパナソニックの違いを見ると、シャープは液晶事業の比率が大きい事が分かります。
シャープの液晶パネル事業は、アップルが生産調整に入ったため、亀山第1工場と亀山第2工場の稼動率が大きく落ち込んでいます。シャープの液晶パネル工場の稼動率向上に、レノボとの提携がどの程度、寄与するのか注目ではないでしょうか。

(3)シャープ運転資金を銀行借入で確保

シャープは昨秋に策定した再建計画で、中国南京市とマレーシア、メキシコにあるテレビの組み立て工場や、東京・市ヶ谷の自社ビルなどの売却を決めた。そのうえで昨年9月にみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行と総額3600億円の協調融資契約を締結し、当面の運転資金を確保した。
シャープは運転資金をCPで確保していましたが、格付の格下げで市場から調達ができなくなりました。そのため、シャープは銀行の社内格付け格下げが行われていますが、保有資産を担保に差し出す事で運転資金を確保しています。

(4)転換社債の償還資金と資本の増強

転換社債、償還資金の銀行融資検討の条件

ただ、今秋に控える約2000億円の新株予約権付社債(転換社債=CB)の償還資金の手当や、昨年9月末時点で9.9%に落ち込んだ自己資本比率の改善など課題は多い。 
再建計画で「必達目標」と位置付けた12年度下期(12年10月~13年3月)の営業黒字を達成し、業績回復の道筋を示せるかが問われそうだ。
シャープの転換社債償還資金ですが、シャープ銀行融資2000億円を検討しており2012年下期の営業黒字化が達成できれば検討に入るのではないでしょうか。ただし、シャープの報道はリークのようなものが多く、全てが信頼できるものではない事に注意が必要です。

シャープ自己資本比率増強についての報道

シャープの資本増強について、読売新聞が風説の流布に近い情報を報道しています。シャープの広報は資本増強報道を否定しており、読売新聞の記者やその家族が、シャープ株や家電メーカーの株取引を行っていないのかチェックする必要があるでしょう。

シャープの増資の中身について細かく見ましたが、内容によっては銀行株も影響を受けるので、注意が必要です。

シャープの増資報道は続報がなく、読売新聞の正月の報道は怪情報のようになっていますが、一体、何であったのでしょうか。

(5)シャープ海外3工場売却で550億円調達の計画

海外のテレビ工場は当初、電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業に売却する予定だったが、交渉が難航。計画していた資金繰り策が崩れるのを避けたいシャープは、鴻海に代わる売却先の選定を急いでいた。
シャープはレノボと提携で見ていますが、海外3工場の売却により550億円の資金調達を検討しています。おそらく、シャープの資金繰り策とは、そのことを指しているのでしょう。

シャープ増資と株価低迷の理由を見ると、増資成功により1000億円規模の現金を獲得しています。シャープは増資により資本増強に成功しましたが、年金債務の一括計上で過少資本の状況が続くことになります。

(6)ホンハイとの交渉の遅れ

シャープは液晶パネルやテレビ事業の不振で、2013年3月期の連結最終損益が4500億円の赤字になる見通し。液晶パネルをつくる堺工場は鴻海との共同出資に切り替えたが、鴻海によるシャープ本体への出資交渉は進んでいない
シャープとホンハイについて、内容を見ると上記の通りです。ホンハイが出資した、旧シャープ堺工場はホンハイの営業努力もあり工場稼働率が大きく改善しています。

ホンハイは、シャープのメキシコ工場の買収を検討しているようですが、これも買収後に大きく稼働率が向上するのではないでしょうか。

シャープの財務と借入のポイントについて見てきましたが、シャープが2012年第3四半期決算で目標と進捗のどういった資料をだすのか注目ではないでしょうか。

関連記事・:


0 件のコメント:

コメントを投稿

最近の記事
Google を含む第三者配信事業者は、Cookie を使用して、ユーザーのウェブサイトでの閲覧履歴に基づく広告を配信します。 Google 広告 Cookie を使用することにより、Google や Google のパートナーは当サイトや他のサイトへのアクセス情報に基づく広告をユーザーに表示できます。 ユーザーは広告のオプトアウト ページ
で Google 広告 Cookie を使用しないよう設定できます(また、Network Advertising Initiative のオプトアウト ページでも第三者配信事業者の Cookie の使用を無効にできます)。