日経ビジネス2012年3月29日版より
鴻海(ホンハイ)と提携失敗を示唆
さて、シャープは格下げと提携交渉を並行して行うという困難な事を行っている。シャープとホンハイとの提携交渉の失敗を予感させる出来事があった。ホンハイ会長が、シャープ堺工場を訪問時に、記者会見とシャープ経営陣との交渉をドタキャンしている。2012年11月21日の日経新聞2面より。個人で660億円の出資
8月30日の夕方、堺ディスプレイプロダクト(SDP=旧シャープ堺工場、堺市)の会議室は、日本と台湾の報道陣約100人でごった返していた。カメラの放列が狙うのはただ一人。大型液晶パネルをつくるこの会社に、個人で約660億円を出資した鴻海(ホンハイ)精密工業薫事長の郭台銘(62)だ。シャープの報道が、複雑で分かりにくいので勘違いされやすい点がある。
- 堺ディズプレイプロダクト(旧堺工場)に出資
- 鴻海の会長が個人で約660億円を出資
また、堺ディスプレイズプロダクトに出資したのは、ホンハイではなく、ホンハイ会長だ。この点については、日本電産の永守重信会長を思い浮かべた方もいるかもしれない。
郭台銘会長 記者会見に現れず
「間もなく参ります」。広報担当者のアナウンスで会議室の空気が張り詰める。だが郭はなかなか姿を現さない。しばらくするとホンハイ副会長の戴正呉が駆け込んできて中国語でまくし立てた。台湾の報道陣からどよめきが上がった。通訳が入る。「郭の記者会見はありません。」突然、記者会見に現れなかったようだ。ただし、工場見学は行っていたようである。
工場見学の様子
この日、台日産業合作訪問団の一員としてSDPを訪れた郭は、前台湾副総統、薫万長(73)らに「自慢の工場」を披露した。工場見学の間は上機嫌だったが、会見場の前に来ると突然、きびすを返しエントランスに向かった。「会見しなくていいのか」。訪問団の一人が聞いたが、郭はジェスチャーで「早くバスに乗れ」と促した。
工場見学の間は、上機嫌であったが突然、帰ったようである。この件については、シャープ経営陣も何も聞かされていなかったようだ。
シャープ役員も知らされていなかった
すっぽかされたのは報道陣だけではない。膠着していたシャープ本体への出資交渉を前に進めるべく、朝から堺に出向いていた相談役の町田勝彦(69)と社長の奥田隆司(59)の2人も、交渉の場を持てなかった。
どうやら、シャープ経営陣も、提携交渉を行うことができなかったようだ。なぜ、ホンハイの郭会長が記者会見と提携交渉を行わずに帰ったのか。その点については、次回触れたい。シャープとホンハイ提携難航の理由(5)に続く。
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